未成年者同士の傷害事件の示談書作成ガイド|雛形・チェックシート無料配布テンプレート

 

示談書

未成年者同士の傷害事件の示談書を作成する際に決めておく内容の完全ガイド

お子様同士のトラブルで傷害事件が発生した場合、当事者間(親権者間)でのトラブルを適切に解決し、将来の紛争を防ぐために「示談書」の作成は非常に重要です。本記事では、行政書士事務所の専門知識をもとに、未成年者同士の傷害事件における示談書で決めておくべき内容について詳しく解説します。

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相手方親権者との話し合いの前に、確認すべき項目をまとめたチェックシートをご用意しました。
示談金・治療費・接触禁止・守秘義務・学校対応など、漏れなく合意を取り付けるためにご活用ください。

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示談書作成の重要性

示談書とは、当事者間の合意内容を書面にしたものであり、口約束だけでは後から「言った・言わない」のトラブルに発展する可能性があるため、書面で合意内容を明確に記録することが重要です。

特に未成年者同士の傷害事件においては、以下の理由から示談書の作成が重要となります。

  • 法的証拠としての効力:適切な示談書があることで、合意内容の証明が可能になります
  • 将来の紛争防止:清算条項を設けることで、追加請求などのトラブルを防止できます
  • 民事・刑事両面の解決:損害賠償と刑事処分の両方に影響を与える重要な書面となります
  • 親権者間の認識共有:双方の親権者が合意内容を明確に理解し、共有できます

未成年者の示談における特殊性

親権者の関与について

未成年者が当事者となる示談においては、民法上の重要な規定があります。

法的根拠 内容
民法818条3項 父母の婚姻中は、未成年の子は父母の親権に服し、親権は父母が共同して行う
民法5条1項 親権者は法定代理人として子の法律行為に対する同意権を有する
民法5条2項 同意がない未成年者の法律行為は取り消される可能性がある
民法825条 共同名義での署名により、表見代理が成立し、後から無効を争われるリスクを軽減

署名の重要性

⚠️ 重要ポイント
示談書の効力を確実にするため、被害者側・加害者側ともに両親(父母)の共同署名を得ることが重要です。片方の親権者のみの署名の場合、後から「同意がなかった」と争われる可能性があります。

少年事件における示談の効果

成人の刑事事件と少年事件では、示談の効果が異なる点に注意が必要です。

項目 成人の刑事事件 少年事件
目的 犯罪を行った者への制裁 少年の更生と保護
示談の効果 不起訴や刑罰軽減に直結しやすい 処分軽減の一要素にすぎない
手続き 検察官による起訴・不起訴の判断 全件家庭裁判所送致が原則
💡 ポイント
少年事件では示談成立だけで処分が決まるわけではありませんが、被害者への誠実な対応や被害弁償の努力は、少年の更生にとって重要な意味を持ち、審判における判断要素となります。

示談書に記載すべき内容

📝 必須記載事項一覧

1. 当事者の特定

  • 被害者である未成年者の氏名・住所・生年月日
  • 被害者の親権者(父母)の氏名・住所
  • 加害者である未成年者の氏名・住所・生年月日
  • 加害者の親権者(父母)の氏名・住所

2. 事件の特定

  • 傷害事件の発生日時
  • 発生場所(学校内、通学路、公園など具体的に)
  • 事件の概要(どのような行為により傷害が発生したか)
  • 傷害の内容・程度(診断書に基づく具体的な傷病名)

3. 謝罪条項

  • 加害者本人からの謝罪の意思表示
  • 加害者の親権者からの謝罪
  • 監督責任者としての反省の意思表示

4. 示談金の詳細

  • 示談金の総額
  • 内訳(治療費、慰謝料、その他損害など)
  • 支払方法(一括払い・分割払い)
  • 支払期限
  • 振込先口座情報
  • 分割払いの場合は各回の支払額と期日
  • 遅延損害金の定め(任意)

5. 接触禁止・再発防止条項

  • 加害者から被害者への接触禁止(学校行事等を除く)
  • SNSでの接触・誹謗中傷の禁止
  • 今後同様の行為を行わないことの誓約
  • 学校内での行動に関する取り決め(必要に応じて)

6. 守秘義務条項

  • 事件の内容や示談の詳細について第三者への口外禁止
  • SNSや掲示板への投稿禁止
  • 学校関係者・他の保護者への情報漏洩禁止

7. 違約金条項

  • 示談書の内容に違反した場合のペナルティ金額
  • 接触禁止違反時の違約金
  • 守秘義務違反時の違約金

8. 清算条項

  • 示談書記載事項以外に債権債務が存在しないことの確認
  • 今後一切の損害賠償請求をしないことの確認

9. 刑事手続に関する条項(任意)

  • 被害届の取下げに関する意思表示
  • 宥恕(ゆうじょ)文言:「加害者を許し、厳罰を望まない」旨の記載
  • 告訴取下げの意思表示(告訴している場合)

10. 学校対応に関する条項(任意)

  • 学校への報告に関する取り決め
  • クラス替え・席替えなどの要望(学校との調整が必要)
  • 保護者間の学校行事での対応

📄 示談書雛形をダウンロード

上記の必須事項を網羅した示談書の雛形(Word形式)をご用意しました。
個別の状況に応じて修正してご使用ください。

📥 示談書雛形をダウンロード(Word)

示談金の考え方と相場

示談金の構成要素

傷害事件における示談金は、一般的に以下の要素で構成されます。

項目 内容 算定方法
治療費 病院での診察・治療にかかった費用 実費(領収書に基づく)
通院交通費 病院への往復交通費 実費
慰謝料 精神的苦痛に対する賠償 傷害の程度・通院期間等による
休業損害 保護者が付き添いのため休業した場合の損害 日額×日数
その他 破損した物品の弁償、文具・制服の損害など 実費または時価

傷害の程度と示談金の目安

示談金の金額はケースバイケースですが、傷害の程度に応じた一般的な目安は以下のとおりです。

傷害の程度 具体例 示談金の目安
軽傷 打撲、擦り傷、全治1~2週間程度 10万円~30万円程度
中程度 骨折(軽度)、歯の損傷、全治1~3ヶ月程度 30万円~100万円程度
重傷 複数箇所の骨折、後遺症の可能性あり 100万円~数百万円
重大な後遺障害 失明、聴覚障害、重度の後遺障害 数百万円~数千万円以上
⚠️ ご注意
加害者が未成年であることを理由に示談金が低額になるということは基本的にありません。被害の状況や結果が重視されます。

監督義務者の責任

未成年者が傷害事件を起こした場合、その親権者は民法714条に基づき監督義務者としての損害賠償責任を負う可能性があります。そのため、示談金の支払い義務者は実質的に親権者となります。

示談書作成時の注意事項

項目 注意点 対策
署名・押印 未成年者本人だけの署名では不十分 被害者・加害者双方の親権者(父母)の署名を取得
記載内容 曖昧な表現はトラブルの原因 具体的数値や期限を明記し、一義的な解釈ができる文言で
治療の完了 治療中に示談すると追加費用が発生する可能性 原則として治療完了後に示談交渉を行う
保管 原本の紛失リスク 関係者全員が1通ずつ保管、コピーも準備
公正証書化 高額な示談金の場合、支払いが滞るリスク 強制執行認諾文言付き公正証書の作成を検討
連帯保証人 加害者が未成年で支払能力に不安がある場合 親権者を連帯保証人として示談書に記載

無効となるケースに注意

🚫 以下の場合、示談書が無効となる可能性があります
  • 示談書の内容が公序良俗に反する場合
  • 脅迫や暴行をして示談書を書かせた場合
  • 法外な違約金や過度な行動制限を設定した場合
  • 親権者の同意なく未成年者のみが署名した場合
  • 実現不可能な条件を設定した場合

行政書士からのアドバイス

📋 話し合いの前にチェックシートで準備を

示談交渉では、その場で決めなければならない項目が多岐にわたります。
事前にチェックシートで確認項目を整理しておくことで、漏れのない合意形成ができます。

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💡 専門家からのアドバイス
  • 専門家への相談をお勧めします:示談書は自分で作成することも可能ですが、法的に有効かつ将来のトラブルを防ぐ示談書を作成するには、専門家への相談をお勧めします
  • テンプレートの流用に注意:未成年者同士の傷害事件は、ケースごとに状況が異なります。本記事の雛形はあくまで参考とし、個別の状況に応じた修正が必要です
  • 感情的な対応を避ける:お子様が関わる事件では感情的になりがちですが、冷静な対応が解決への近道です
  • 早期の対応が重要:傷害事件は刑事事件としても扱われる可能性があり、早期の示談成立が双方にとって有益です
  • 学校との連携:学校内で発生した事件の場合、学校との連携も重要な要素となります
  • 業務範囲の理解:行政書士は示談書の作成をサポートできますが、相手方との交渉は弁護士の業務となりますのでご注意ください

まとめ

未成年者同士の傷害事件における示談書作成は、将来のトラブルを防ぐ重要な法的手続きです。成人の事件とは異なり、親権者の関与が必須であること、少年事件特有の手続きがあることを理解した上で、適切な内容を盛り込んだ示談書を作成することが大切です。

✅ 特に重要なポイント
  • 被害者・加害者双方の親権者(父母)の署名を得ること
  • 事件の特定、示談金、接触禁止、守秘義務、清算条項を明確に記載すること
  • 治療が完了してから示談交渉を行うこと
  • 公正証書化や連帯保証人の設定を検討すること

お子様の将来に関わる重要な手続きです。複雑な案件や対応に不安がある場合は、必ず専門の行政書士や弁護士にご相談ください。

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