【時効援用5980円】NHK受信料は5年で時効になる?法改正の影響と絶対にやってはいけない「債務承認」のリスク
【徹底解説】NHK受信料は5年で時効になる?法改正の影響と絶対にやってはいけない「債務承認」のリスク
「数年前に引っ越した実家のNHK受信料の請求が、今の住所に転送されてきた」
「集金担当者が訪問してきて、過去10年分の未払い分を一括で請求された」
SG行政書士法務事務所にも、このようなNHK受信料に関する切実なご相談が数多く寄せられます。
長期間滞納してしまった受信料は、金額が数万〜数十万円にのぼることも珍しくありません。しかし、法律の規定に基づき適切な手続きを行えば、5年以上前の受信料については支払義務を消滅させられる可能性が高いことをご存知でしょうか。
本記事では、数多くの時効援用手続きをサポートしてきた行政書士が、NHK受信料の消滅時効の仕組み、2020年の民法改正による法的な変更点、そして時効を成立させるために「絶対にやってはいけないNG行動」について、判例や条文を交えて詳しく解説します。
1. NHK受信料の消滅時効は「5年」【最高裁判決の根拠】
まず結論から申し上げますと、NHK受信料の消滅時効期間は「5年」です。
借金や未払い金の時効というと「10年ではないか?」と思われる方もいらっしゃいますが、NHK受信料に関しては5年という短期消滅時効が適用されます。
なぜ「5年」なのか?(定期金債権)
NHK受信料のように「一定の決まった時期に」「定期的に支払う」性質を持つお金のことを、法律用語で「定期金債権(ていききんさいけん)」と呼びます。
この点について争われた裁判において、最高裁判所は以下のような判断を下しています。
NHKの受信料債権は、年又はこれより短い時期によって定めた金銭の給付を目的とする債権(定期金債権)にあたるため、その消滅時効期間は5年とする。
この判決により、「弁済期(支払期限)から5年が経過した分」については、時効援用をすることで支払いを免れることができるというルールが確定しています。
例えば、10年間一度も支払っていなかった場合、時効援用手続きを行うことで、古い方の5年分は消滅し、直近の5年分のみを支払えば解決するケースが一般的です。
2. 2020年民法改正による影響と注意点
2020年(令和2年)4月1日に、120年ぶりとも言われる抜本的な「改正民法」が施行されました。これにより、時効に関するルールも大きく書き換えられましたが、NHK受信料にはどのような影響があるのでしょうか。
(1) 時効期間のルール変更(実質的な期間は変わらず)
旧民法では、NHK受信料は「第169条(定期給付債権の短期消滅時効)」に基づいて5年とされていました。
改正民法ではこの第169条が削除され、代わりに以下の第166条に統合されました。
- 債権者が権利を行使できることを知った時から5年間
- 権利を行使できる時から10年間
NHK受信料の場合、支払期限(権利を行使できる時)は明確であり、NHK側もそれを認識しているため、改正法の適用になっても変わらず「5年」で時効となります。
(2) 遅延損害金(延滞利息)の利率変更
こちらは金銭的な負担に関わる重要な変更点です。
受信料を滞納した場合、元金だけでなく「遅延損害金」が発生します。この計算に使われる法定利率が変更されました。
| 発生時期 | 法定利率 |
| 2020年3月31日まで | 年5%(固定) |
| 2020年4月1日以降 | 年3%(変動制 ※3年ごとに見直し) |
もし時効援用ができず(または失敗して)支払うことになった場合、いつ発生した滞納分かによって加算される利息が変わります。古い滞納分ほど高い利率(5%)が適用され続ける点に注意が必要です。
3. 【最重要】時効がリセットされる「債務の承認」とは?
このブログを読んでいる方に最もお伝えしたいのが、「5年経っていても、対応を間違えると時効が使えなくなる」という事実です。
消滅時効には「更新(旧法では中断)」という制度があります。
特定の事情があると、それまで積み上げた時効期間がゼロに戻り、また1からカウントし直しになってしまうのです。
その最大の原因が「債務の承認」です。
債務の承認とは、債務者(あなた)が債権者(NHK)に対して「借金があることを認める言動」をすることを指します。
やりがちな「債務承認」のNG行動リスト
NHKの集金担当者や電話口のオペレーターは、言葉巧みに債務の承認を引き出そうとすることがあります。以下のような対応は絶対に避けてください。
- ✖ 一部弁済:
「手持ちがないなら1,000円だけでも」と言われ、少額でも支払ってしまう。 - ✖ 支払猶予の申し入れ:
「今は払えないので、来月まで待ってほしい」「ボーナスが出たら払う」と伝える。 - ✖ 書類への署名・捺印:
分割払いの誓約書や、支払いを約束する確認書にサインをする。 - ✖ 契約の変更手続き:
滞納がある状態で、地上契約から衛星契約へ変更するなどの手続きを行う。
たとえ口頭であっても、「払います」「待ってください」と言った瞬間に債務を承認したとみなされ、過去の分も含めて全額支払う義務が復活してしまう恐れがあります。
4. 放置は危険!「支払督促」が届いたら即対応を
「NHKなんて見てないから無視していればいい」
「どうせ裁判なんてしてこないだろう」
このように考えて請求書を長期間無視し続けるのは非常に危険です。NHKは近年、未払い受信料の回収を強化しており、裁判所を通じた法的手段(支払督促や民事訴訟)を積極的に行っています。
裁判所から通知が届いた場合の「2週間」の壁
裁判所から「支払督促」という特別郵便が届いた場合、絶対に無視してはいけません。
これを受け取ってから2週間以内に「異議申立て」をしないと、NHKの主張が全面的に認められ、給料や銀行口座の差し押さえ(強制執行)を受けることになります。
この段階になってしまうと、本来なら時効で消せたはずの債権まで、判決によって確定してしまい(時効が10年に延びる)、支払わざるを得なくなります。
5. 正しい時効援用の手順
5年以上前の受信料があり、かつ「債務の承認」をしていない場合、以下の手順で時効援用を行います。
手元の請求書や記憶を頼りに、最終支払日から5年以上経過しているかを確認します。
時効援用は、電話で「時効です」と伝えるだけでは証拠に残りません。
必ず「内容証明郵便」を利用し、配達証明付きで送付します。「いつ、誰が、誰に、どのような内容を送ったか」を郵便局が証明してくれるため、後日のトラブルを防ぐことができます。
ご自身で文章を作成することも可能ですが、書き方を間違えると「債務の承認」と取られる表現になってしまったり、必要な要件を満たしておらず無効になったりするリスクがあります。
行政書士に依頼するメリット
NHK受信料の時効援用は、弁護士、司法書士、行政書士などの専門家が扱っています。
その中でも行政書士は、「権利義務に関する書類作成のプロ」として、時効援用通知書の作成および発送代理を比較的リーズナブルな費用で承ることが可能です。
※既に裁判になっている場合や、NHK側と金額交渉・減額交渉を行いたい場合は弁護士の範疇となりますが、「要件を満たしているので、書面を送って時効を完成させたい」というケースでは、行政書士への依頼がスムーズです。
まとめ:NHKからの請求には冷静に対処しましょう
NHK受信料の時効は5年です。突然の請求に驚いて、慌てて電話をしてしまったり、一部を支払ってしまったりする前に、まずは一呼吸置いてください。
- 5年以上前の滞納が含まれていないか?
- 不用意に支払いの約束をしていないか?
- 裁判所からの通知を放置していないか?
これらを確認し、少しでも「時効の可能性があるかもしれない」と思われた場合は、NHKに連絡する前に当事務所へご相談ください。
SG行政書士法務事務所では、NHK受信料をはじめ、数多くの時効援用手続きをサポートしており、確実な書面作成でお客様の生活を守るお手伝いをしています。
時効の手続きは時間との勝負でもあります。「もしかして…」と思ったら、すぐにお問い合わせください。

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