業務委託契約書の作成は行政書士への依頼がおすすめ|費用相場の比較・盛り込むべき必須12条項・フリーランス新法対応・トラブル事例を徹底解説

業務委託契約書は、フリーランスや中小企業が安心して取引を行うために欠かせない書類です。しかし、「どんな内容を盛り込めばいいのか分からない」「ネットのひな形をそのまま使っても大丈夫?」といった不安を抱える方は少なくありません。
本記事では、業務委託契約書の作成を行政書士に依頼するメリットや費用相場、盛り込むべき必須条項、契約書の不備が招いたトラブル事例、そして2024年施行のフリーランス新法への対応ポイントまで、幅広く解説します。
業務委託契約書とは?基本をおさらい
業務委託契約書とは、事業者が外部の企業や個人に業務の遂行を依頼する際に、取引条件を書面化した契約書です。実は「業務委託契約」という名称は民法上の正式な契約類型ではなく、法的には「請負契約」(民法632条)または「委任契約・準委任契約」(民法643条・656条)のいずれかに分類されます。
法律で細かく規定されていないからこそ、当事者間で取り決める契約書の内容が非常に重要です。口約束やチャットのやりとりだけでは、いざトラブルが起きたときに「言った・言わない」の水掛け論になるリスクがあります。
行政書士に依頼する4つのメリット
① コストパフォーマンスが高い
行政書士への依頼費用は弁護士と比較して大幅に抑えられます。予算の限られた個人事業主やフリーランス、中小企業でも、手の届きやすい価格で法的リスクをカバーした契約書を手に入れることが可能です。トラブル発生時の訴訟費用や機会損失を考えれば、事前の契約書作成は合理的な投資と言えるでしょう。
② 契約書作成の専門知識
契約書作成を専門とする行政書士は、IT、Web制作、クリエイティブ、製造業など、業界特有のリスクを踏まえた契約設計が可能です。下請法、フリーランス新法、著作権法、印紙税法といった関連法令にも横断的に対応できるため、個別の事情に沿った実務的な契約書が仕上がります。
③ 柔軟なオンライン対応
メール・LINE・チャットワーク等のオンラインツールで全国対応可能な事務所が増えています。初回相談無料のケースも多く、対面での打ち合わせが難しい方でも気軽に依頼できます。Word・PDF等、希望のファイル形式での納品にも対応するのが一般的です。
④ 相談しやすさ
行政書士は「街の法律家」として親しみやすく、弁護士事務所に比べて心理的なハードルが低いと感じる方が多いのが特徴です。契約書の基本的な疑問から業務範囲の整理まで、気軽に相談しやすい環境が整っています。
費用相場を比較|行政書士と弁護士の違い
業務委託契約書の作成を専門家に依頼する場合、費用は大きな検討ポイントです。行政書士と弁護士の一般的な費用相場を比較します。
| 業務内容 | 行政書士の相場 | 弁護士の相場 |
|---|---|---|
| 一般的な業務委託契約書の新規作成 | 1万〜3万円程度 | 5万〜15万円程度 |
| 複雑な契約書(特殊業務等) | 3万〜5万円程度 | 10万〜20万円以上 |
| リーガルチェック(既存契約書の確認) | 数千円〜2万円程度 | 3万〜10万円程度 |
※上記は一般的な相場であり、事務所や契約内容の複雑さにより変動します。具体的な費用は各事務所にお問い合わせください。
このように、行政書士は弁護士と比較して費用を抑えて依頼できるケースが多くあります。紛争性のない契約書の新規作成やリーガルチェックであれば、行政書士に依頼することでコストを大幅に削減できる可能性があります。
業務委託契約書に盛り込むべき必須12条項
業務委託契約書には、トラブルを防止し、双方の権利義務を明確にするために盛り込むべき重要条項があります。以下の12項目は特に押さえておきたいポイントです。
| No. | 条項 | ポイント |
|---|---|---|
| 1 | 業務内容の特定 | 抽象的な表現を避け、具体的に列挙。必要に応じ別紙・仕様書を添付 |
| 2 | 報酬条項 | 税込・税抜の明記、支払方法、振込手数料の負担者、経費の取扱い |
| 3 | 契約期間・更新条項 | 開始日・終了日を明示、自動更新の場合は更新拒絶の通知期限を設定 |
| 4 | 納期・検収条項 | 納品期限と検収期間・合格基準を明確化 |
| 5 | 知的財産権の帰属 | 著作権法27条・28条を含む旨と著作者人格権の不行使特約を明記 |
| 6 | 秘密保持条項 | 秘密情報の定義、使用目的限定、契約終了後の返還・廃棄義務 |
| 7 | 損害賠償条項 | 賠償範囲と上限額を設定(委託料の額まで等) |
| 8 | 契約解除条項 | 解除事由の列挙と残存条項の規定 |
| 9 | 反社会的勢力排除条項 | 反社でないことの表明保証と無催告解除権 |
| 10 | 再委託の可否 | 事前の書面承諾を条件とし、再委託先への義務も規定 |
| 11 | 競業避止義務 | 範囲(地域・期間・業種)を合理的に限定 |
| 12 | 管轄裁判所 | 紛争時の専属的合意管轄裁判所を指定 |
請負契約と委任(準委任)契約の違い
業務委託契約書を作成する際には、契約の法的性質が「請負」なのか「委任・準委任」なのかを正しく判断する必要があります。両者は目的や責任の範囲が大きく異なるため、誤って適用すると思わぬトラブルを招きます。
| 比較項目 | 請負契約 | 委任・準委任契約 |
|---|---|---|
| 目的 | 仕事の完成 | 業務の遂行(事務処理) |
| 成果物 | 必要 | 不要(成果完成型を除く) |
| 契約不適合責任 | あり | なし(善管注意義務違反のみ) |
| 再委託 | 原則自由 | 原則不可(委任者の許諾要) |
| 中途解約 | 注文者のみ可(損害賠償要) | 双方いつでも可(民法651条) |
例えば、Web制作やシステム開発、デザイン制作、記事執筆などは請負契約に該当します。一方、コンサルティングやセミナー講師、システム運用保守などは準委任契約に分類されるのが一般的です。契約書に「本契約は請負契約とする」等を明記し、該当する契約類型に応じた条項を設計することが不可欠です。
ひな形をそのまま使う危険性
インターネット上には無料の契約書テンプレートが多数公開されていますが、そのまま流用することには大きなリスクが伴います。
自社が守れない条項が含まれるリスク:テンプレートに含まれる条項をそのまま入れた結果、自社として遵守が難しい義務を負い、相手方から契約違反を主張されるケースがあります。
法改正への未対応:令和2年の民法改正(瑕疵担保責任から契約不適合責任への変更)や、2024年11月のフリーランス新法に対応していない古いテンプレートを使用すると、法的保護が十分に得られない可能性があります。
業種・業態とのミスマッチ:ひな形は最も汎用的な内容を前提としており、IT開発、クリエイティブ業務、コンサルティング等の業種特有のリスク(著作権の帰属、成果物の定義、再委託の範囲等)には対応しきれません。
契約書がないと起こるトラブル事例
契約書を作成しなかったり、内容が不十分だったりすることで、以下のようなトラブルが実際に発生しています。
事例1:報酬が支払われない
動画編集の業務を口約束で受託したケースでは、成果物を納品したにもかかわらず、発注者から「払うつもりはない」と報酬の支払いを拒否されました。最終的に弁護士を通じて書面を交わし回収に至りましたが、余計な時間と費用が発生しました。契約書があれば報酬の支払義務が明確となり、トラブルの予防・早期解決が期待できます。
事例2:業務範囲をめぐる紛争
コンサルティング業務で、契約書を作成途中のまま捺印せずにプロジェクトが進行し、突然打ち切られたケースがあります。1年がかりの大型案件のために他の仕事を断っていたにもかかわらず、契約書がないことが裁判でも不利に働きました。
事例3:「サービス対応」が当然視される
善意で対応していた追加業務がいつの間にか「契約範囲内」と見なされ、追加料金を請求すると拒否されるケースです。業務範囲・頻度・時間を契約書に明確に定めていなかったことが原因です。
事例4:知的財産権の帰属が不明確
業務委託で作成された成果物の著作権帰属が争われた裁判例では、契約書に「成果品の著作権は委託者に帰属」と記載があったものの、対象が具体的に特定されていなかったため紛争に発展しました。著作権条項は対象を具体的に列挙する必要があります。
偽装請負に注意|判断基準と回避策
偽装請負とは、契約上は業務委託としながら、実態は労働者派遣と同様の指揮命令関係にある状態を指します。偽装請負と判断された場合、労働者派遣法違反として罰則の対象となるだけでなく、「労働契約申込みみなし制度」により発注者が直接雇用を強制されるリスクもあります。
厚生労働省の告示に基づく主な判断基準は以下の4点です。
① 業務遂行の指示:委託元が作業者に直接的な指示・管理を行っていないか。
② 労働時間の管理:出退勤管理や休憩・休日の指示を委託元が行っていないか。
③ 設備・資材の提供:業務に必要な機器・資材を委託元が支給して業務を制御していないか。
④ 専門性の有無:単なる肉体的労働力の提供ではなく、専門知識に基づく業務遂行か。
契約書の名称が「業務委託契約」であっても、実態によっては偽装請負と認定される可能性があります。契約書の文言だけでなく、実際の業務運用においても指揮命令関係がないことを徹底する必要があります。
フリーランス新法と改正下請法への対応
フリーランス新法(2024年11月施行)
「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス新法)により、フリーランスへの業務委託時に取引条件の書面明示が法的義務となりました。資本金要件がない点が下請法との大きな違いであり、個人事業主同士の取引にも適用されます。
法定で明示が必要な項目は以下の9項目です。
① 当事者の氏名または名称、② 業務委託をした日、③ 業務内容、④ 納期、⑤ 受領場所、⑥ 検査完了期日(検査する場合)、⑦ 報酬の額(算定方法も可)、⑧ 支払期日、⑨ 金銭以外の支払方法がある場合はその方法。知的財産権の譲渡・許諾がある場合はその範囲も明示が必要です。
また、支払期日は給付受領日から60日以内に設定する必要があり、「月末締め・翌々月15日払い」のように60日を超える設定は違反となります。
改正下請法(取適法)の施行
改正下請法(取適法)では、従来の資本金基準に加えて従業員数基準が新設され、適用範囲が大幅に拡大します。手形払いの全面禁止や一方的な代金決定の禁止も盛り込まれており、既存の契約書テンプレートの見直し・改訂が必要です。
収入印紙の要否と電子契約のメリット
業務委託契約書に収入印紙が必要かどうかは、契約の類型と締結方法によって異なります。
請負契約の場合は印紙税法上の第2号文書に該当し、契約金額に応じた収入印紙の貼付が必要です。一方、委任・準委任契約の場合は原則として印紙は不要です。
また、電子契約で締結した場合は、紙の文書を交付しないため、契約類型にかかわらず収入印紙は一切不要です。印紙税法は紙の文書に課税する仕組みであり、電子データでの締結は課税対象外となります。
※印紙の貼付漏れがあった場合でも、契約書自体の法的効力には影響しません。ただし、過怠税が課される場合がありますので適切な対応が必要です。
よくある質問(FAQ)
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